今日は、勤怠管理、労務管理のコラムを書きたいと思います。
従業員を管理する社長や人事担当なら誰もが知りたいであろう、「みなし労働時間制」について。
■-目次-■
そもそも、みなし労働時間制とは?
よく聞きますよね。「みなし労働」。みなし残業と言われることもありますね。ブラック企業とかがたま〜に、かなりグレーな対応(黒に近い?)をしていて、残業時間をちゃんと計算していなかったり支払っていなかったりで、ニュースになることもあるこのワード。
みなし労働時間制の中にはいくつか種類があリます
みなし労働時間制は、「裁量労働のみなし労働時間制」と「事業場外労働のみなし労働時間制」に大別されます。
裁量労働のみなし労働時間制
「裁量労働のみなし労働時間制」は、通常の労働時間から計算するのではなく、法所定の 手続きによってみなし労働時間を計算して、それによっ て労働時間の算出をする制度のことをさします。仕 事のやり方・進め方を労働者の裁量に委ねなけれ ばならないような高度な専門職等に従事している 場合は、実労働時間に関わらず、労使で協議した みなし労働時間により労働時間を計算することが できる、というルールに決めたのが、この制度の発端でもあるんです。
事業場外労働のみなし労働時間制
こちらは、主に本社にいなかったり事業拠点にいない、営業マンや社外取引先で常駐しているエンジニアなどを対象にしています。
「労働者が労働時間の全部又は 一部について事業場外で業務に従事した場合にお いて、労働時間を算定し難いとき(労基法38条の 2第1項)」
は、実労働時間に関わらず、当該業務が所定労働時間を超過して業務する場合に、通常必要とさ れる時間を労働時間として労働したものとみなし算定する制度のことです。
企画業務型のみなし労働時間制
企画業務型のみなし労働時間制はいわゆる経 営企画職(企画を考えたり、経営を管理したりする仕事)に従事している労働者が対象です。
これには事業場外労働のみなし労働時間制を含め、 細々とした取り決めがいくつかあるんです。この点、導入するときはコンプライアンスや内部統制の観点から割と厳しい要件が入ってくるので、注意が必要です。
専門業務型のみなし労働時間制
専門業務型裁量労働については労使協定の締結、届出が必要になります。
当該業務、業務に必要な時間等を協定した場合、その業務に従事した労働者は協定で定めた時間労働したものとみなされます。
- 省令で定める業務
- 新商品、新技術の研究開発の業務
- 情報システムの分析、設計の業務
- 取材、編集の業務
- デザイナーの業務
- プロデューサー、ディレクターの業務
- 厚生労働大臣の指定する業務
- コピーライターの業務
- システムコンサルタントの業務
- インテリアコーディネーターの業務
- ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
- 証券アナリストの業務
- 金融工学などの知識を用いて行う金融商品の開発の業務
- 大学での教授研究の業務
- 公認会計士の業務
- 弁護士の業務
- 建築士の業務
- 不動産鑑定士の業務
- 弁理士の業務
- 税理士の業務
- 中小企業診断士の業務
- 専門業務型を採用したいが、対象業務か相談したい
みなし労働時間制を導入する場合の注意点
労働者の裁量をきかせられるみなし労働時間制ですが、いくつか注意点があります。
業務の進捗について直接的な管理がしづらい
使用者が業務の進め方に対して直接指示をしない」という取り決めがありましたが、みなし労働時間制はこの取り決めが前提となって適用されます。いくら重要な業務であっても、業務の裁量は従業員に任せなければならず、直接的に業務の進捗管理を行いたくておも、なかなか関与しづらいというポイントがあります。(実態として管理に関与しているグレーなケースも多いですが・・・・)
長時間労働に繋がりやすい
「みなし時間」を一日の所定労働時間にすることが原則となっているので、一日の労働時間の計算は規則等で定められた始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間で算出します。
みなし労働時間制の下では、求められる成果を出さない限り収入は増えません。対象となる従業員の間で成果を出さなければならないという思いが広がることにより、実労働時間がみなし労働時間制を適用する前よりも増えてしまうケースも多いんですね。
使い方によっては会社側の管理を楽にできる制度でもありますが、そのぶん導入時にきちんと注意して規定などチェックしなければ、例えば後からIPOや上場を狙う時に審査に引っかかってしまったり、そうでなくとも労務問題に発展する可能性も秘めた制度でもあるんです。導入するときは注意して、きちんと専門家に相談して就業規則を決めましょう。
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